市民連合と野党共闘の力(最終回):9月5日(しんぶん赤旗) 改憲阻止 草の根の力発揮          安倍首相が諦めるまで 市民と野党の共闘の原点である、憲法9条の会の安保法制=戦争法反対、立憲主義回復のたたかいは、今新たな重大な局面にあります。 改憲遂行の宣言 安倍晋三首相は、安保法制のもとにある自衛隊を憲法9条に書き込み、無制限の海外での武力行使に道を開く改憲を実行に移そうと動きを強めています。安倍首相は、参院選の結果を受けての記者会見(8月22日)で、「憲法改正の策定に向かって、衆参両院の第1党として、わが党は、今後、強いリーダーシップを発揮していく決意だ」と表明。「2020年新憲法施行」という17年以来の目標についても、「その思いには変わりないと明言しました。 後1年半で改憲の国民投票を実現し、改憲をやり遂げる決意を宣言したものです。まず10月初旬に召集が見込まれる臨時国会で、何が何でも改憲案の議論に入る構えです。 車の両輪の活動 「正念場中の正念場です。戦後74年で最も重要な時期だということです。 こう語るのは[オール埼玉行動]実行委員長の小出重義弁護士(埼玉弁護士会元会長)です。 「オール埼玉」は「立憲主義の回復、9条壊すな、戦争させない」の一点で共同する全県組織です。安倍9条改憲阻止を掲げ、11月には9回目となる総行動を1万人規模で成功させることも確認しました。小出氏は「全県レベルで大きな集会や宣伝とともに、草の根で一人ひとりの県民と対話することが決定的に重要です。二つは車の両輪。大きな集会で全国的に発信すると同時に、署名を持って書く家庭を回る。そこで対話することで「大変なことになるんですね」と分かってもらえる」と強調します。小出氏は「自衛隊明記で9条2項が死文化する危険は、国民には十分に知られていない」と感じています。 「オール埼玉」は全県レベルの集会・宣伝を準備し、県内15の小選挙区レベルに作られた連絡会が地域での活動を進めます。 7月の参院選で改憲勢力が[3分の2]われに追い込まれた根本には、市民と野党の共闘が各地で結束と主体的力量を強めたことに加え、こうした安倍改憲阻止の草の根の取り組みがありました。市民の自覚的なたたかいこそ、共闘発展の原動力です。 安倍首相が諦めるまで 改憲・右翼団体「日本会議」と一心同体の議員連盟=日本会議国会議員懇談会は、6月20日に開いた総会「令和元年」の運動方針を確認。「早期の国会発議」を目指すとしたうえで、「全国の選挙区に、国民投票に向けた連絡会議の設立を促進する」とし、「研修会や講演会を積極的に開催し、国民投票における過半数の賛成投票を目指す」としています。すでに自民党と日本会議は連携して、小選挙区単位の「憲法改正推進本部」の設置を進め、「草の根」の改憲論議を盛り上げる運動を盛り上げています。「運動方針」はこれをさらにレベルアップし、「(改憲)国民投票」での過半数獲得を目標にした運動を進めるとしたのです。 草の根の対話で 安倍晋三首相と日本会議が恐れるのは、草の根で倦まずたゆまず続けられる、草の根の対話運動です。 2017年9月に提起された3000万人署名運動の力は、参院選後の世論調査を見ても鮮明です。 「朝日」の世論調査(7月22、23日両日実施)では、改憲勢力が3分の2に届かなかった事について、「よかった」の26%を上回りました。安倍政権のもとでの改憲に46%が「反対」と回答(「賛成」31%)。「安倍首相に一番力を入れてほしい政策は何ですか」に対し、最も多かった回答は[年金などの社会保障]38%で、最下位が「憲法改正」で3%でした。 共同通信社の調査(7月22,23日実施)でも、3分の2われの選挙結果について、「よかった」29.8%に対し「よくなかった」12.2%。「安倍首相のもとでの憲法改正」について、「反対」56%が「賛成」32.3%を大きく上回りました。同社の選挙最終盤のトレンド調査(同月12,13日実施)で、安倍改憲に「反対」が51.4%だったのがさらに拡大しています。 選挙の前後を通じて、全国の地域、職場で一人ひとりの有権者に直接対話で働きかける運動は、3000万人署名運動以外にはありませんでした。 列島を揺るがす 「安倍首相が改憲を諦めるまで続けます」兵庫県尼崎市の[安倍9条改憲no!全国市民アクション・東園田の会]事務局の本岡わか子さんはこう言います。東園田の会では、昨年6月に、会で独自に定めた地域目標(3000人)を達成した後も運動を一貫して継続。この8月19日には4185に到達しています。「この次は目標の1.5倍の4500を目標にしようと、話し合っています」と本岡さん。「表現の自由への攻撃が強まり、政権が侵略の歴史を棚に上げて韓国を攻撃するなど、危険な状況です」と語ります。市民と野党の共闘の発展と安倍改憲阻止へ、2015年の安保法制=戦争法反対運動を上回る、列島を揺るがすような大闘争がもう始まっています。(終わり)