野党共闘の力    「信頼の発展」に結実 参院選野党統一候補は10小選挙区で勝ち・与党勢力を三分の二以下に追い込んだ結果は、「信頼の発展」として結実した。前回11選挙区で勝った土台のうえに信頼と希望の力が大きくなった。 このホヤホヤの力は、 @ 仙台市議選で、石垣のりこ新参議員(野党統一・立憲民主党)が、4日、日本共産党の街頭演説に参加・応援に駆けつけた小池書記局長とならんで・共産党の市議予定候補の応援に立ちました。他党の国会議員が共産党仙台市議の応援に立つのは初めてのことです。 「参院選の熱がさめやらぬうちにやってくる仙台市議選。野党共同、市民共同でこの選挙をたたかっていかなくてはならない」と述べた。これは、石垣のりこ新参議員(立憲)のホヤホヤで力のこもった、応援演説の言葉です。 「宮城市民連合」の多々良哲事務局長は、「日本共産党市議だんの皆さんは、時には手柄を人に譲ってでも、縁の下の力持ちとなって市民と野党の共闘のために働いてくださいました。その姿勢は多くの市民の信頼を集めています。日本共産党仙台市議団をますます大きく強くして、その役割を発揮していただきたい」と演説されました。 A 山形県高富町議選で、芳賀道也新参議員(野党統一・無所属)が、2日、日本共産党の街頭演説に参加・応援に駆けつけ、小松まさいち日本共産党町議候補を応援しました。芳賀新参議員はこのときの思いを「応援していただいたすべての仲間に応援を返すのは当然」・「共産党は危機感をもっていち早く共闘を呼びかけ、共闘の中でルールを決めたら組織をあげて全力で応援してくれた」と語りました。 同時に芳賀氏は、「共闘の力がなければ3分の2を止めるおおきな成果はなかったが、今回「大勝利」とまで言えるかというと薄ごうりの部分もある。平和と暮らしを守る勢力が、共闘でさらに強固なものになっていく必要があるという思いがあった」と述べました。安倍信三首相が狙う、9条改憲の加速を見据えます。 B 7日、長野市議選に向けた共産党演説会で、羽田雄一郎新参議員(野党統一・国民民主党)が挨拶 C 9日には、盛岡市議選などでの共産党演説会に横沢卓也新参議員、達増拓也岩手県知事が駆けつけるなど、各地で共闘の輪が広がっています。 野党共闘の力 勝利の必然性ある:野党と市民の連合政権 「自公も比例表を減らし足腰が弱るもとで、現在のように野党が小さく分裂している状態ではどうしても自公が勝ってしまう。そのなかでカギとなるのは野党共闘がどこまで機能するかです。自公に対して積極的な指示はないのに、ずるずると勝ち続けていく構造をどう打破するのか。・・・野党共闘には勝利の必然性がある。ずっと国民が注目しています。」・・・こう指摘するのは、東大社会科学研究所の重徳教授〔政治学者〕です。 「今回、東北、新潟、滋賀、など自公と激しく競っていた1人区で共闘が効いた。もともと安倍首相がかなりいけるとの予測をひっくり返して10勝しました。大成功、大健闘です」 一定の成果」という人もいるが、「一定の」いらない。3年前と比べても大成功です。五十嵐法政大名誉教授はこう述べます。 2016年の参院選挙で、初めての野党共闘のときには、現職候補が11人でしたが、今回は30人が新人。それが連休明けになってようやくバタバタと決まっていく状況で、「簡単に言えば野党は出遅れていた」(五十嵐氏)のです。与党側は16年の反省を踏まえ、大きく負け越した東北を中心に、早くから組織、業界の引き締め、締め付けを強めていました。与党側は知名度や組織体制の準備で大きくリードしていました。 五十嵐氏は言います。「選挙は用意どんで横一線のスタートが普通だが、今回、野党共闘は10mぐらい後ろからスタートして、途中で追いつき、追い越した。野党共闘がなければ、そして中身が良く前進していなければ、これだけの成果を上げることはできなかった。 安倍首相は、改憲勢力3分の2の維持のため、東北、新潟、滋賀、などの激戦区に、自らも繰り返し遊説に入るなど、権力総動員の攻勢を強めました。その猛攻を打ち破っての野党共闘の勝利でした。 五十嵐さんは、「東北では前回に続き、今回も地殻変動が起きた。沖縄の場合は、オール沖縄の共闘のもとで、何度も地殻変動が起きており、もう地形が変わっている。安倍首相も、菅官房長官も、沖縄には一度もいけなかった」と述べます。 東北の保守系無所属県議の一人は、「東北では、安倍政権の進める農業の産業化という考え方に抵抗感が強い。環境保全、防災など家族農業ならではの重要な機能を無視している。トランプとの取引でもこの先なにが出てくるのかという疑問もある。とし「宮城では、比例では強かった自民から、相当の票が野党候補に流れた「社会を良くしようと、政策の違いを超えた力を合わせる共闘の取り組みが、芽吹きつつある」と語りました。 経験重ね豊かに発展 「市民連合@宮城」の多々良哲事務局長は、16年以来の共闘の積み上げについて「市民と野党の共闘の成熟あり、それが市民に広がって浸透した」と指摘。「裏を返せば、安倍政治に対する危機感の広がりです。首相のほうから積極的に「争点は憲法だ」という、とんでもない選挙でした。安倍首相に9条会見やらしたらだめだということを含め、市民の結集があった」・・・宮城では、16年の参院選を土台に17年の仙台市長選での共闘による勝利、18年には女川原発再稼動の是非を問う「県民投票をもとる署名運動で、2ヶ月で11万人分を集める経験を重ねました。市民と政党の間の意思疎通も携帯1本で」「ツーカーで」できるようになり「醸成された信頼関係」が作られたと多々良さんは語ります。しかし「それだけでは負けていたと思う」多々良さん。『向こう(政権側)のテコ入れは半端でなくて。最後はぎりぎりで勝ちきった。それは候補者が良かったということ』と指摘。『石垣のりこ氏は、親しみやすい庶民派の人で、市民の声をよく聞く一方、その主張はすごくとがっていて、今までの政治家の言葉が届いていなかった人たちにも、彼女の言葉は届いたのではないかと』語ります。「上げるべきは賃金であって、消費税ではない」-。このセリフは同氏のキャッチフレーズとなりました。 政権つくる意志こそ固め実現へ話し合いを開始すべし 東大の重徳教授は『改憲勢力が3分の2を下回ったという点で象徴的な選挙となったが、野党共闘によって自公の安定を脅かすには至っていない』とし、今後の最大の課題として「連立政権合意」をあげます。宇野氏は、「容易ではないが、論理の構造としてそこに進まざるを得ない」と指摘。「選挙のときだけ共闘するが、連立政権を作る意志はないと言うことでは、批判票は流れるが積極的選択にはならない。共産党を含む形で連立政権を組むということで始めて代替する政権への選択肢が生まれる。」と述べました。8日共産党の志位委員長は「野党連合政権に向けた話し合いを開始しよう」とよびかけました。・・・共闘をたたかった野党と市民が連合政権合意へ、話し合いを始めることを提唱したのです。               (以上赤旗新聞8月16日)