日韓関係を考える        政権の危険な『発信』 元経済産業省官僚  古賀茂明さん (8月17日:赤旗新聞) 安倍政権は、韓国は徴用工問題を『蒸し返す』ひどい国であり、文在寅〔ムンジェイイン〕大統領は「反日」なので懲らしめるという考えで、国民の支持率を稼ぐという状況です。 しかし、日本のマスコミはきちんと述べませんが、米国のNBCも「文在寅は反日ではない。安倍政権が問題だ」という見方を示しています。 世界は、ヒットラー、ムソリーニ,ヒロヒトが世界大戦で大きな誤りを犯したと見ており、これはいくら年月がたっても変わりません。安倍政権は歴史修正主義者ではないかと疑われています。今回の一件は、これを増幅する危険な発信となりかねません。 韓国は、歴史認識の問題で日本が居直り、徴用工問題の「報復」で韓国たたきに走り、経済圧力を強めていると主張しており、世界はそのとおりに受け取る可能性が高いのです。 日本が韓国を併合し主権を奪ったが歴史問題の始まりですが、日本は一度も『韓国併合』を間違いだと認めていません。そのことが改めて世界にさらされることになりました。その中で日本が、いくら韓国をひどい国だといっても、『日本はやはり反省していない』となるだけです。安倍政権は、日本経済は韓国より強大だから、最後は韓国が『土下座』するはずだと考え違いをしているようです。 日本は、いまや世界的に広がった網の目のようなサプライズチェーン(供給網)の中で生かされています。パソコンやAI,スマートフォンなどの製造業分野ではほとんど競争力を失っています。が逆に『偉大な下請け大国』として生き残っています。なぜに日本に世界最高の部品があるかというと、韓国のサムスンと提携し、いろいろ教えてもらいながら製造し、独占的な地位を攻めているからです。 経済分野で韓国に制裁を加えたとき、何が起こるのか。韓国が日本製品にはリスクがあると判断して、中国や、台湾に最先端の技術・情報を渡して材料部品のグレードアップの関係を築く方向に動く。日本の技術と経済は深刻なダメージを受けます。ところが、世耕経済相にはこいう「都合の悪い」情報はあがらず、政権は『韓国をたたきのめせ』といっています。日本の企業が困って、何とかしてほしいと言えば村八分にされかねません。 政治的、経済的に日本が間違った方向に進んでいても、正しい情報や意見が上がらないで、突き進むしかないという状況になっており、そこに最も大きな問題があります。