中日新聞2019年8月15日トップニュウス(抜粋記録) 権力の誤り簡単に片付けるな 太平洋戦争中:名古屋空襲被災地での救援任務の警察官:壮絶体験描く:遺品見つかる(安城出身元警察官:桜井純さん:2016年89歳で死去) 遺品の中に戦争体験の絵が残されていた。爆弾の直撃した防空壕、無残な遺体の納棺作業、そして生活苦に陥った戦災孤児たちー。戦前から戦後の暮らしを文章とともに生々しく伝える体験絵は千七百枚あまりに上る。十五日は令和になって初めての「終戦の日」。壮絶な体験を記した絵は、新しい時代に生きる人にも戦争の惨禍を伝え続ける。 「時々人の呻き声、手足、内ぞうがとびびちってまるで地獄図のようだ。」「死体のほとんどはその半分白骨化している。腹部はポンポンにふくれて口は半開き歯をむき出している。 B−5サイズの用紙に文章で書き起こし、絵が添えられている。体験絵はファイル三十五冊に納められており、遺族が書斎で発見。安城歴史博物館に寄贈された。「警察官による戦時下の救援活動をここまで詳細に記録した地元資料は貴重と評価されている。 ファイルの中には、ある文章が残されていた。今日終戦の日に考えさせられるものです。 「この回顧録は面白半分で見ないでください」と始まり、自身の強い願いがつづられている。 「国家権力により誤った考え方のもと多くの国民が悲惨な一生を送っていったのです。(中略)仕方ないことと簡単に片付けないで熟慮してみてくださることを念じます。・・・・・ これは、国民総懺悔に終わらせないで、ああそうだったで済まさないということではないでしょうか。