先週ＴＹさんの訃報が届いた。昨年８月末に救急車で市民病院に入院されて以来、
この日が遠くないと覚悟していたのだが・・・。全く残念だ。
「主人が夢に現れた時、もう迎えに来てと頼んだ」と言っておられた。
満８８歳、Ｈ１４年入会の全盲メンバーである。
Ｈ２３年春にご主人を亡くされて以来、ヘルパーさんを頼りに一人暮らしをされている。
息子さんは国家公務員として要職に就いておられるため、「仕事の邪魔をしたくない」と、独りで頑張って来られた「心の強い人」だ。
視覚障碍を持ちながら高齢者の一人暮らしはさぞかしご不自由だと思うが、決して音を上げたり、愚痴をこぼされることはなかった。
ご夫妻はありんこの恩人である。かつて会が分裂の危機に直面した時「ありんこに足を向けて寝られない！」のひと言で、動揺を抑えられた。
それを決して話されず、蔭の支援に徹しておられた。
何年か後に脇からそれを伺い、当時を振り返る度に、自分の未熟さが慚愧に堪えない。併せてご夫妻のご恩は、決して忘れまいと密かに誓った。
音声だけが頼りのメールやウエブ ページの閲覧は、耳の遠くなった身にはさぞかし難しかったであろう。
ＰＣ支援時に話しの通じ無い苛立ちから、ついついきつい言い方になってしまう。そんな小生の未熟さを決して怒らず、せめる事もなく、全てを包容して下さる。
常に「感謝と自省」「忘己利他」を自戒の言葉にされておられる様だ。
こんな彼女の傍らにいるだけで、自然に感化される。
道元禅師のお言葉、「霧の中を行けば、覚えずして衣湿るなり」が思い出される。
そのせいかヘルパーさんやありんこ会員等々、誰からも大事にされておられる。
何かお役に立ちたいと自然に思わせるのは、人徳である。
俳句を通じ、あるいは人生の先輩として、障碍の有無にかかわらず若い会員達から慕われていたのは当然である。
入院された時息子さんを通じて、それまで使っておられた音声パソコンと複合プリンターをありんこに寄贈された。
戻れないことを既に覚悟されておられたのだろうか。
本当に潔い生き方をされた、一本背筋の通った方でした。
長い間有り難うございました。
心からご冥福を祈っています。
友逝くけり四溫といえど寒き日に
彼女が旧友に贈られた追悼句である。もう１１年前になる。
以上
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